先日、現役美容師の方にお話を聞く機会がありました。
講演とかではなく、共通の知り合いを通して飲みに行ったのですが、現場の話はやっぱりとっても面白くで、すごく参考になったし、勉強になりました。
今日は、その中でもとても印象に残った話をご紹介したいと思います。
美容師の方(Kさんとしましょう)は、街の比較的評判のよい美容室のヘアスタイリストさんで、お子さんがまだ小さいことから、パートタイムで仕事をしています。
定時は17時、お客さまの施術が押しているときはもう少し長くなるし、自分のお客さまがいないときは早めに上がることもあるのだとか。
数年前に東日本大震災がありましたね。あの時ももちろんKさんは仕事中でした。
パーマをあてている方や、カラーの途中のお客さまもいらっしゃり、現場はかなり騒然としていたそうなのですが、スタイリスト4人のうち、Kさんのお客さまを除いた3名のお客さまにおいては、「施術はもういいですから、とりあえず家族が心配なので帰ります」とパーマなども途中で帰宅されました。
ちなみに、パーマを途中でやめるときは、かならず2液をつけなければなりません。
1液で髪の細胞を一時壊した状態にし、ロットでクセをつけ、2液で細胞をもとにもどしますので、1液の状態でやめてしまったら髪が大変なことになってしまいます。
このときも、まだ十分な時間を置いていなかったのですが、2液で髪の状態を戻して終了しました。
しかし、Kさんのお客さまだけは「ここまでやったからぜんぶやってしまって?」と帰る素振りを見せなかったのだそうです。
本震のあとの余震も大きく、近隣では水道管が壊れてしまったところもあるので、「かなり余震も大きいようですが、ご家族は大丈夫ですか?」と尋ねると、「うちはダンナだけだし、火事場に強い人だからだいじょうぶ。これだけ大きい地震が来たら、もうそこまで大きいのはこないでしょう」と、パーマもカラーもすべて済ませてしまってほしいとのこと。
そのときKさんが担当していたお客さまは2名だったのですが、2名とも同じことをおっしゃり、余震の続く中、しっかりと施術を終えて帰られたのだそうです。
ちなみに翌日の予約は、ほぼすべてのお客さまがキャンセルされたそうですが、Kさんのお客さまだけはきちんと予約通りに来店し、施術をしていかれたのだとか。
ヘアスタイリストにつく顧客は、やはりどこか似たタイプの人が集まるのかもしれませんね。
あの地震の中施術を済ませて帰るとは、かなり気合の入ったお客さまだなあと驚いてしまった私なのでした。